ネパールでの大地震

 先週4月25日、ネパールの山岳地帯を震源とする大きな地震があった。広範囲にわたる甚大な被害と多くの方が犠牲になっている様子が伝えられている。無残な光景に心痛む。
 1986年から1987年にかけて一か月半ほどネパール国内に滞在していた。とあるキリスト教系団体が地道に取り組んできた山間部での簡易水道を設置するワークキャンプに参加していた。ヒンドゥー教の国で、当時、キリスト教を現地の人に直接宣べ伝えるのはご法度だった。
 首都カトマンズからバス1時間、徒歩3時間でたどり着く山の上にある村に滞在した。眼下の谷間を飛行機が空港に向かって着陸していくのが見える、雲の上の生活だ。電気は来ていなかったので、夜になると首都の街の明かりと、万点の星空が同じくらいの明るさだった。白熱電球が多くて単色の夜景がなぜかとてもきれいだったのを思い起こす。
 北方には世界の屋根ヒマラヤの峰々が連なっているのがよく見えた。あの山の向こう側は中国領チベットと思うと、日本とはそう遠く離れていないのだと感じた。
 1997年に再びネパールを訪れる機会があった。当時勤務していた医療NGOの現地支部への出張だった。病院設備や公衆衛生環境は決して良好とはいえない。しかし、献身的に仕えていた現地の医師たちから、限られた条件の中で最大の成果を引き出す知恵について多くのことを学んだ。
 今回の大地震でもあの医師たちをはじめとする医療関係者は奮闘していることだろう。もしかしたら憔悴しきっているかもしれない。救えたはずの命を救えなかったかもしれない。
 内外の救援隊がすでに活動を開始している。大きな困難を伴うことだろう。今後、もっと悪いニュースが届くかもしれない。一人でも多く助けられるよう祈りたい。
 日本にいるわたしたちは、今は、プロの手に委ねて見守るしかない。しかし、手を差し伸べる機会はたくさんある。現地で活動する民間団体は活動資金を必要としている。民間の手による救援活動の質は、スタッフの士気とともに資金のスケールが決定的な要素となる。
 今回の出来事を通して、わたしたちにできることを再度、確かめ合いたい。

カテゴリー: 日々の見聞   パーマリンク